👹節分といえば豆撒き
おととい、2月3日は節分でしたね。
節分といえば、豆撒き。豆を入れた升を持って父親の号令で、家族みんなで部屋という部屋に豆をまいたのは懐かしい想い出です。
子どもたちはけっこう思いっきり豆を投げていました。
「鬼はーっ外ーっ!!」
パラパラパラーッ!(投げた豆の飛び散る音)
「福はーっ内ーっ!!」
パラパラパラパラーッ!(投げた豆が、またまた飛び散る音)
今になって思い出すと、母親だけは豆をそっと床に置いていたような気がします。子どもだった自分は解ってなかったけど、次の日、その豆を拾うのは母だったんですよね。今さらですが、すみません。
🍣節分の食卓
そんな節分、我が家の食卓に並んだのは、巻き寿司といわし。そのほかにいつもの小鉢はいろいろとあったと思います。
いわしはしょうがと一緒に甘辛く煮た、いわゆる煮付けで、地元は関西なので、“いわしの炊いたん”と呼んでました。甘辛いお醤油味でけっこう好きでした。今でもたまに自分で作ったりします。
そして巻き寿司。これが節分の主役です。
具材は玉子焼き、かんぴょう、三つ葉にきゅうり。そんな感じだったと思います。よくある太巻きです。
でもいつもと違うのは、その形。ここ数年の間に全国に知られるようになりましたが、いわゆる“恵方巻”というやつですね。そう、切り分けない丸ごとの巻き寿司です。これをその年の縁起のいい方向を向いてかじる。
一本丸ごと。もぐもぐ。もぐもぐ。
食べている間は言葉を発してはダメ。無言。
もしその年の恵方が南南西なら、家族全員が南南西に右向け右。みんなおなじ方向を向いてもぐもぐ。またある年は北北西に進路をとれ。北北西を向いてもぐもぐ。もぐもぐ。
🍣不思議だけど節分だから
本来家族が輪になって食卓を囲んで向き合って、そして和気あいあいと会話をしながら進める食事の時間に、みんなが手に持った切らないままのお寿司を手に、おなじ方角を向いてもぐもぐ。けっこうシュールな光景です。
でも、それが節分という伝統行事の食卓だと教えられて、毎年くり返していたから、楽しみだったんですよね。それはプレゼントをもらえるクリスマスや、お年玉をもらえるお正月と比べると待ちに待った楽しみではなかったかもしれません。でも家族で過ごす毎年のひとコマとして、子ども心に、今年もこの季節がやってきたという、安心や喜びにつながっていたのだと、今になって思います。
いつしか自分もそんな記憶が身に染みて思い出される、おとなになりました。なので毎年節分の日には巻き寿司を巻いています。
🍣いつしか広まった節分スタイル
でもこの数年気になるのは、テレビやSNSで盛り上がる“恵方巻”の話題。
もともと関西の風習らしいので、自分は子どもの頃からの当たり前な行事ですが、それがいつの間にか日本中の行事みたいになって、そしてそれと同時に定着したその名前。
“恵方巻”
実はこの名前、こうして全国に広まってはじめて知ったんですよね。そもそも恵方という言葉もそうです。
お寿司のことは“丸かぶり寿司”…切らずに丸ごとかぶりつく、そのまんまの名前です。
そしてその年の縁起のいい方角のことは、“今年はあっち向いてたべたらええことがあるんやで”…ほな、そっち向いて食べなアカンな。
そんな感じでした。
恵方という言葉は、恵み、方角という言葉の組み合わせで、いい言葉、きれいな言葉だと思います。でも、なんとなく、丸かぶりとかあっちはええ方向という言葉と比べると、ちょっとよそゆきな印象を受ける気がします。
もともとあった風習、それをわかりやすいイメージにしようとしたときに必要だったネーミング。きっと短くて、そして文字を見るだけで意味が伝わるものである必要があったのではないかなと思います。
ネットの誕生で日本全国だけでなく、世界までが一瞬でつながるようになった現在。地方の風習のようなものも、ちょっとしたきっかけで全国に広まるものなんですよね。
節分の丸かぶり寿司もそんなひとつ。おしゃれなネーミングにはいまだに不思議な感じがありますが、故郷を離れて久しい今、そんな風習の話題が誰にでも通じるようになったのは、ちょっと嬉しくてなんとなく誇らしい気もします。