🦑海の街からの贈り物
昨年末の帰省中、海沿いの街に帰省した友人が、地元の海産物を送ってくれました。
「近くの市場を見に行ってきたんですけど、いいイカがありましたよ」
実家はいわゆる海なし県なので、こんなメッセージは羨ましく、そしてありがたいかぎりです。
届いた保冷ケースをあけると、大きなイカに海老、ホタテ貝に北寄貝。海の幸の玉手箱のようでした。新鮮なシーフードって見るだけで笑顔がほころびますよね。
それぞれ美味しくいただいたのですが、中でも北寄貝は珍しいのも手伝って、ちょっと感動モノでした。はじめて捌いたのですが、友人の教え通りに扱うと、みごとにお寿司屋さんで見るあの紅白の北寄貝に変身。独特の歯ごたえに磯の香りが心地よくて、お正月の日本酒が進む一因でしたね。
イカはお刺身でいただいたのですが、すごく大きくて立派で、身の厚みはしっかりあるのにやわらかい。噛むほどにねっとりとして甘味が増す。友人曰く、「思わず自分の分も買いそうでしたよ」とのこと。帰省中で実家にごちそうがたっぷり待っているのに、地元出身の友人がそう思うってことはかなりいいイカということでしょうね。本当に美味しかったです。
そんなイカですがさばいている途中気になっていたのが、ワタ。大きなイカでその分とにかく立派なワタが入ってたんです。
もうこれは塩辛にするしかない。
お刺身用のイカを切りながら、ずっとそう考えてしまうくらいに立派でした。
🦑塩辛づくり
さて、では作っていきましょう。
お刺身にしたときにイカはエンペラと足を残しておきました。これを塩辛にしていきます。
まずは下準備。味のキモになるのは肝。ダジャレみたいになりましたが、“話のキモ”のキモは肝臓の肝。それだけ肝臓が重要な臓器だということです。今回のキモは肝なのです。
密閉できる容器にキッチンペーパーをたたんで底に敷きます。ちょうど容器の底に収まるサイズにたたんだペーパーの上に塩を薄く敷き詰めます。そこに洗って水気をふいたイカのキモをどどーんと横たわらせます。
今回のイカは本当に立派なサイズだったので、キモの横たわり具合がすごいビジュアルです。いつだったか動物園で見た、ふて寝してるみたいに見えるカンガルーみたいです。どどーん。
上からもう一度塩をまぶして、キッチンペーパーをかぶせたら、容器の蓋をして冷蔵庫でひと晩置きます。ここまでできたら、ほぼ完成の一歩手前。
🦑翌日~塩辛の仕上げ
ひと晩経つと、キモから水が出てきゅっとしまってます。ちょっと小さくなって、なんだか寂しい…カンガルーがワラビーになったみたいな…いやいや、水分が出て、その分味が詰まって味が濃厚になってるんです。だから小さくなったんです。
ボウルを用意して、キモを包丁の背でたたいたものを入れたら、みりんをちょっとたらしてのばします。そこに細く切ったエンペラ、食べやすい長さに刻んだ足を加えたらよく和えて完成。
すぐに食べても美味しいのですが、清潔な瓶に入れて、さらにひと晩冷蔵庫で寝かすと味がよくなじんで美味しさがアップします。
白いごはんか日本酒か。
自家製塩辛の美味しさ、格別です。