ことしも年越しは実家で過ごしました。コロナ禍になって、まる一年間実家に帰れなかった時期を思い返すと、家族で過ごせるお正月はありがたいものだとしみじみ思います。
🍜お正月といえばお雑煮
お正月といえばおせちは外せませんが、もうひとつ忘れちゃならないのがお雑煮です。
でもお雑煮って
- 食べるのはお正月だけ
- 土地土地によってまったく違う
ちょっと不思議な食べものだと思います。
ちなみに実家のお雑煮はいわゆる京風。京都らしく白味噌ベースで、具材は丸餅に大根、お豆腐、そして“かしら芋”をどんと入れて、かつおぶしを散らします。これがけっこう好き嫌いの分かれる料理で、実は自分は子どもの頃から苦手だったりします。
大人になって実家を離れると、懐かしいなぁという気持ちはあるし、その気持ちに動かされてひと口、ふた口と啜ってみるのですが、気が付くとなんとなくお箸はお節料理のほうにのびていて、お腹いっぱいになってから気付くと、お雑煮が残ってる…なんてこともあったりします。
🍜京風お雑煮は白い。そして甘くて濃い
あらためてお椀の中を見つめなおしてみると、白い。とにかく白い。白味噌、お餅、かしら芋、お豆腐。大根。とにかく白いです。
そんな純白のお椀を構成する具それぞれ。
お豆腐は好物、大根も好き、かつおぶしも好きなのですが…お芋が苦手。これは子どもの頃からで、小芋だけでなく、じゃがいもやさつまいもも調理法によっては食べたりもしますが、基本的に好きじゃない。それなのに、このお雑煮のメインの具はかしら芋なんですよね。具の中でも存在感はダントツです。
そしてさらにいうと、もうひとつのボリュームのある具、お餅。これも好きじゃなかったりします。大人になってお酒の味を覚えてからは、夕飯のときは晩酌をすることもあって、お米を食べないことも多くなりましたが、子どもの頃はおかずと一緒に食べるごはんが大好きでした。でもそんな頃からなんだお餅は苦手なんですよね。
そのうえ白味噌のお汁もちょっと苦手。これは苦手というより、味の組み合わせ的なものではないかとも思っています。というのも、白味噌自体は甘くておいしいと思うこともあって、たとえば白味噌で漬けた魚を焼く西京焼きは大好きですし、白味噌を和え衣にしたぬたや、酢味噌で食べるおつまみも大好きです。
🍜だけどやっぱり懐かしい
でもおせちとともに食べる白味噌のお雑煮って、ちょっと悩ましい。おせちって食べはじめると、あれもこれもたくさんの種類のおつまみになって、ついついお酒を飲んでしまいます。そうなると、汁物に手がのびなくなってしまうんです。
あと、これがけっこうポイントのような気がするのですが、おせち料理って和食で、もともと日持ちするように作られているからか、甘い味付けが多いですよね。お砂糖とみりん、お醤油の濃い味で、しっかり味。ここにこってりした白味噌の甘い味のお汁ものというのが、くどく感じてしまうのかもしれないと思っています。
だけど自分にとってはこのスタイルが、懐かしいお雑煮で、たとえお箸がのびなくても、お正月を感じるのは、白味噌のお雑煮なんですよね。
🍜お雑煮って千差万別
そんなお雑煮も地方によって千差万別。名前はお雑煮でも、ぜんぜん別ものです。
うらやましいなぁと思っていたのは、シンプルなお澄まし系で、鶏肉に小松菜、かまぼこなんていうのは、おせちの箸休めにぴったりな気がするし、鮭やいくらが入った港町のお雑煮はごちそう感があって憧れです。
あれもお雑煮、これもお雑煮。
スタイルは違えど、お正月を祝う、縁起のいいお汁ものだということは共通しています。そしてそのスタイルの違いは、全国各地の環境や作物、いわれがあって受け継がれてきている味であり、スタイルだと思います。
お雑煮は千差万別。そして自分にとって、たとえ箸がのびなくても、お正月を感じるひと品は白味噌の甘いおつゆにごろんとかしら芋が入った、純白のひと皿なんだと思います。