洋食屋さんにもいろいろスタイルはあると思いますが、その中でも魅かれるのが、ちょっとレトロな感じのお店。洋食がフランスやイタリアの西洋料理を、アレンジして発展してきた、そんな歴史を感じるのはやっぱりクラシックな雰囲気のお店です。
そんなタイプの洋食屋さんで魅力を感じるのがあれ。料理は美味しくて、ボリュームもあって、ニッポンの洋食だからごはんにも合う。そんな魅力をさらに引き立てるあれ。
楕円形のシルバープレートです。
料理を盛りつけるお皿にはいろいろありますが、洋食の場合このお皿に載ってるとなんだか魅力が倍増する気がします。
シルバープレートに載っているのは、まずメイン。ハンバーグやエビフライ、メンチカツにポークソテー。どれか一品でも大満足ですが、ふた品盛り合わせとかだと嬉しさ倍々増しです。
それからたっぷりの生野菜。おなじハンバーグでも鉄板で供されるスタイルだと、にんじのグラッセやフライドポテトなど温野菜になりますが、シルバープレートの場合はなんといっても生野菜。特に千切りキャベツ。洋食屋さんはドレッシングも美味しいお店が多いのでそこも堪能できる付け合わせです。
それからその生野菜の横にひと口サイズのポテトサラダが載ってても嬉しい。マカロニサラダも大歓迎。これは単品で頼むときと違って、ひと口ちょっとの量で、いかにもオマケ的な感じがいい。もうちょっと食べたいくらいのさじ加減が、脇役のはずなのにすごく印象深くなる効果を出してくれる気がします。
サラダの脇、メインの陰に、これもちょっとだけついているパスタも嬉しい。もちろんパスタはトマト味。それもシルバープレートのお店なら、ケチャップをからめたただけ、具のない素スパがいい。茹で加減は懐かしいナポリタンにならってやわらかめ。アルデンテなんて言葉が広まる前のあれがいい。
メインがハンバーグなら、たっぷりのデミグラスソースがかかっていて、それがちょっと付け合わせのスペースにも侵食していく感じ。デミソースがちょっとからんだキャベツもポテサラもこのお皿の上だけで生まれる美味しいひと品。もし目玉焼きが載っていたら、黄身を崩したタイミングで、デミグラスソースと混じって、濃厚な洋風のすき焼きみたいな進化を遂げていく。
エビフライにはタルタルソース。もしかしたら、カットしたレモンも添えられているかもしれません。レモンは酸味のアクセントだけではなく、黄色という鮮やかな色で、ビジュアルにもアクセントを加えてくれます。
盛り合わせたプレートの上は、洋食のフェスティバル。食べていくうちに少しずつそれぞれのソースが混じったり、いっそこちらからハンバーグにエビフライのタルタルソースをつけてみたり。
シルバープレートの上は、大好きな洋食のパーツが入り乱れて、そのときの美味しさを生み出しています。
そして食べ終わったあと。シルバープレートが輝いている。また来てくださいね、というように輝くお皿がなんだか歴史と伝統の誇りを訴えかけてきているような気がるのです。